某所で、
という質問がありました。
そこに、下記のように答えました。
どなたにも参考にしていただける要素が含まれていると思うので、転載します。
-----------------以下、弊社回答--------------
安く建てたいのか、お値うちに建てたいのかで判断が分かれるところです。
日本で家を安く建てる手法は、業者に限らず限定されます。
業者によって、そこまでやっていいかという自己規制が働くか、望んでいるならやってしまえるかという違いだけです。
そういう意味では、たとえローコストメーカーであっても、最安値にはなりません。さすがに、そこまでは出来ない、という企業ルールがあるからです。
法律違反ではないぎりぎりの低価格が望みであれば、建売の下請け業者さんなどを探して、こだわりは一つもないので、違法でない一番安い仕様で、安価にしてください。というのがいいのではないでしょうか?省エネや耐久性のことも言いません、という事であれば、かなり安価に出来そうです。
「安価に建てたい」というイメージを確認するために例を出しましたが、現実的にはできるかぎりコストを掛けないというのは、前述のような安価に建てたいというのとは、おそらく違うでしょう。
「できる限りコストを掛けない」というのを、無駄なコストを掛けずに、費用を出来るだけもの(ハード)に変えたい、というイメージでとらえるとすれば、出来るだけ、ソフトにお金を使わないことが肝心になります。
間取りは、すでにあるプラン集のような物から決定し、途中の打ち合せは少なく、色や材質はお任せで文句は言わない、というような覚悟が出来るなら、それは相当コストダウンにつながります。
逆に、施主支給などは、施主支給のやりとりに人的パワーが必要なので、トータルではコスト高になります。(見積状上手く調整されてしまい、見かけ上得したようには見せてくれるかもしれませんが。)
家の維持費等を含めた生涯の住居費を最小にしたい、という視点で考えるなら、暮らしぶり(冷暖房の使用状況や家族構成、メンテナンスや外観の気にされ具合など)や嗜好などを良くきいて、適切なプロダクトを考えてくれるところが、最もお得になると思います。
イニシャルにあと、これだけかけるのかかけないのか、という事を、適切に判断するのは、それなりに経験のいることですので、少し年齢のいった経験年数の長い担当者の方が良いでしょう。
実は、間取りにも口は出しそうだし、仕上げも、何でもいいといいながら何でも良くはないな。など、それなりの打ち合せを想定しているかもしれませんね。
まずは、自分自身が考える(そして納得できる)ローコストのあり方を考えてみるといいと思います。平行して住宅雑誌でも眺めていれば、答えは見つかるのではないでしょうか?
いずれにしても、頃合いをわきまえることの出来る工務店が適しているとは思います。
「質問主さんが価値を感じない部分は省け、価値を感じる要素だけで上手く創ってくれる工務店。」を見つけてください。
それが、一番ローコストの近道です。
「トイレが一つ3000円安く手に入る。」なんていう類いのことには、あまり拘らない方がいいと思います。
ちなみに、手続きで、リスクが少なくコスト削減効果が高いおすすめは、意外に登記関係です。
特に、表題登記に関しては、少し手間はかかりますが、10万円程度の手数料を浮かせることが出来ます。住宅ローンを利用する場合でも可能です。
「ヤフー知恵袋への回答です。
回答欄の文字数制限にかかり、説明が終わらなかったので、こちらに記載しています。
内容は、特定のメーカーに付いてではなく、傾向を説明したつもりですが、一部、背景を実名で説明している部分もあります。
会社として、特に他意はないので、ご了承ください。」
以下、回答
値段の差という視点から見ると、仮に同じ内容の建物を建てたとしても(同じ程度の材質、同じ程度の施工、同じ程度のグレードを仮に想定。実際には、構法が違うので全く同じにすることは不可能ですが、同じ程度のグレード感にして比較出来たと仮定した場合。)、1は少し高価で、2は少し安いでしょう。もし、「3.ほどほどできの良い地域の工務店」、というのを選択として増やした場合、3が一番安くなる可能性が高いです。
価格の内訳を見てみると、いわゆる広告宣伝費については、実は別の方が答えているように、ハウスメーカーという業態だから高いとは限りません。ハウスメーカーでも1棟に割り返せばそれほどでもない会社もありますし、小さな工務店ががんばって雑誌に掲載する方が1棟あたりは高くなるケースの方が多いくらいかもしれません。
それでも、一般的に一流の大手ハウスメーカーの方が割高になる傾向にはあります。
様々な、会社ごとの要素(実際、各企業ごとがんばっているので、業態でひとくくりに説明は出来ませんが。)を抜きにすれば、この価格差は、「品質の安定」のコストだと言って良いと思います。
品質を安定させる手法は、これまた各社様々な方法があるのですが、例えば、ここにあがっている1の会社は、施工そのものは自社ではやりません。下請け業者と頻繁に勉強会をしたり、下請け監督以外にも自社監督(ただし、自社監督は技術的な事はあまり知らないことも多いですが(^^;))がチェックしたり、防水など一部専門業種は広域エリアを網羅する専門の大手業者を利用し、そこの監督も品質チェックをしたり、と、2重3重のチェック体制を敷いています。
これは、ひとえに、クレーム的な要素の発生を消すためです。
誰がやっても、どの地域でやっても、会社の名前に反しないレベルの安定的な品質を保つために、莫大なコストがかかっています。
これが、地元の工務店であれば、下請け業者さんの人となりも知っていて、担当監督もすばらしく、経験もあり、良い大工と良い下請け業者と良い建材屋さんに恵まれれば、品質安定のためのコストを何も掛けずに、すばらしい建物が出来ます。
逆に、そういう条件がそろわなければ、ずいぶんひどい建物が出来てしまうかもしれません。
でも、これって、お施主さんにとっては判断が難しいですよね?
無数にある工務店には、いいところもそれほどでもないところもあります。下請け業者さんや職人さんにも、いいところもそれほどでもないところもあります。
1のハウスメーカーの割高コストは、そんな業界の中で、職人さんの腕によらず失敗がなく、一定水準の下請け業者さんを確保し、何千、何万棟という建物の品質を一定の水準以上に維持するコストです。
一方、2に挙げられた業者さんは、元々、工務店です。
全国どこに進出しても、地元の業者、地元の職人で作れるように標準化された家づくりを行っています。
施工も、一応自社施工の体です。
広告宣伝費を除けば、地元の工務店と同じような管理体制にあります。
つまり、1のハウスメーカーのような品質維持コストはあまり掛けていません。
全国展開をしているビルダーで、業績を伸ばそうという形態にあって、品質維持のコストを掛けていないローコストを売りにすることには、それなりのリスクが伴っています。
つまり、品質のばらつきが、どうも、相当あるようです。
良い担当者にあたればずいぶん良いけど、そうでない場合はずいぶん痛い目をみる、という振れ幅が、1のハウスメーカーよりも遙かに大きくなります。
値下げ圧力が強い中で、業績も伸ばさなければならない。その上、品質管理のコストはそれほど掛けられない、という事になれば、建物の品質は、サラリーマン担当者(つまり、その会社から給料をもらっている)の良心による部分が大きくなり、それなりに心許ない気はします。支店長クラスがとても良い人だったりすればいいのかもしれませんが。
ここまでが、仮に同程度の建物を建てた場合の原則論になります。
実際には、1と同じ建物は建てられません。
そこが、本当の意味でのハウス「メーカー」と大きなビルダーの違いになってきます。
1のハウスメーカーは、自社の商品について「開発」という工程があります。
完璧ではないにしろ、自社商品についてある程度の検証を行い、一定の性能を発揮するために材料の組み合わせや作り方にも一定のルールを課します。自社のオリジナルの部材も、そこそこあります。(多くは、一般建材メーカーがハウスメーカー向けにアレンジしているに過ぎない部材ですが、一部、完全なオリジナル部材で、それを強みに出来ているものもあります。)
これも、上記の一定の品質を確実に確保するための一つにもなるのですが、とにかく、所定の性能を安定的に発揮することには、力を入れています。
ちなみに、このためハウスメーカーの商品というのは最先端の建物ではありません。建材メーカーや先進的な工務店が取り入れ、ある程度普及した技術を安定的にまとめ上げているのが商品になっているので、技術的には、先進的な工務店よりはずいぶん遅い対応になります。
もし、最先端の技術で安全安心を得たいと考えるようなら、3の工務店の中から、手間暇を惜しまず選ぶしかないでしょう。
これに比べると、2の建てる建物は、全く普通の、日本の木造の最大公約数的な商品です。
もともと、埼玉県(だったと思うけど)にあった、アキュラホームという地元の工務店が、当り前の部材でつくるあたり前の家の建て方から、一定のルールを導きだし、普通の工務店が一棟づつ毎回同じような見積をしたり、ちょっとずつ違う収まりになったりして、非常に非効率だった状態から、一定のルールで建てる作り方による合理化を行い、業績を伸ばしたことがきっかけで、そのノウハウを全国の工務店に販売し始めました。そのノウハウを買って、本家以上に上手く生かせたのが、福岡(だったと思うけど)のタマホームというわけです。全国に、この手のノウハウを利用している工務店は無数におり、その中では地域ビルダーとして成功しているところや、独自色を出して別の方向に進化しているところや、建売住宅に活用しているところなどなど、いろいろあります。
材料の質についても、少し言及しますが、こちらは、同一グレードであればそれほど差はないと思います。
上記の品質維持コストの差もありますので、同じ価格なら、材料に関しては2の方が良くなる可能性が高いとさえ思います。
(少なくとも、材料に回せるコストは大きいので。)
ぶっちゃけ、材料に関しては価格次第です。(高くても品質の悪いものはありますが、品質が良い物はそれなりの値段なのです。どんなに工夫して「お値うち」に出来たとしても、「激安」にはならないものです。)
材料が良くても施工が駄目なら、建物としては駄目ですし、目立つところの材料が良くてもそれを生かすための隠れた材料が駄目なら、やはり建物としては駄目だめなので、材料を生かせる品質管理体制と合わせて評価する必要はあります。
ただ、1も2も、いわゆるオプション扱いのものは、かなり割高に設定されていますので、例えば、1のある商品と同じにするのに、2のある商品にずいぶん多くのオプションを設定しなければならない場合などは、2の方が割高になることもあるでしょう。
1でも2でもオプションが多くなってしまうようなら、そういう価値観の人は、3の工務店が向いている人だと判断してもいいでしょう。
だんだんまとまりがなくなってきてしまったので、このあたりでおしまいにします。
・1は、失敗はほとんどない。失敗がないと言うことに価値を感じれば、ベストな選択。
・2も、お値段とのバランスでは基本的には悪くないと思いますが、お値段なり。大量のオプションをつける結果になるならやめた方がいい。
・玉石混合の玉を選べる知識なり、眼力なり、情熱なり、時間があるなら、3が一番良い。ただし、業者の質と言うより価値観の相性という意味で、ハウスメーカー以上に満足出来る会社を探すのは割と大変。時間と情熱がないならやめた方が良い。
ピンポイントの質問があれば、また追記します。
ではでは。